はじめに|「政治」と「経済」が投資にどう影響するの?
投資を始めたばかりの20代にとって、株価がなぜ上がったり下がったりするのか、なかなか分かりにくいものです。
ニュースでは「関税」「為替」「金利」などの言葉が飛び交いますが、これらは一見難しそうでも、投資をするうえで非常に大切な要素です。
特に2025年現在、アメリカではトランプ元大統領が掲げる「関税政策」が再び注目を集めており、世界の金融市場が敏感に反応しています。
今回は、「トランプ関税」「米国債と日本国債」「金利」「為替」「株価の相関関係」について、初心者でもわかりやすく解説していきます。
1. トランプ関税とは?|関税が世界経済に与えるインパクト
2025年4月2日、トランプ前大統領は突如「相互関税」の発動を発表。中国を含め100か国以上からの輸入品に対して、一律10%以上、最大50%の関税を課すというものでした。中でも中国製品への関税は、段階的に125%まで引き上げられることが決定。
この発表は市場に衝撃を与え、株価は大幅に下落、米長期金利も急騰。投資家の不安心理が一気に拡大しました。
✅ ところがわずか14時間後、方針が急転!
トランプ氏は中国を除く国々への上乗せ関税を90日間停止する方針へと転換。この判断に至った背景には、**米国債の急落(=金利の急騰)**や、金融界・政界の要人たちからの強い警告がありました。
- 米10年国債利回りが2001年以来の急上昇
- JPモルガンCEOダイモン氏が「景気後退のリスクが高まる」と警告
- 上院議員リンゼー・グラム氏が直接電話で進言
- 投資家アックマン氏も90日停止案を助言
トランプ氏は「市場は必ずしも正しいとは限らないが、時として正しい」と語り、市場の反応を重く見たことを認めました。
✅ 関税がもたらす影響とは?
- 海外からの輸入品が高くなる(インフレ圧力)
- 輸入企業のコスト増(業績悪化)
- 相手国から報復関税が来る可能性
- 為替レートや金利にも影響が広がる
つまり、関税1つで株式・債券・為替すべてに波及するのです。
2. 米国債と日本国債の動きに注目
関税の影響はまず**「債券市場」に表れます。米国債(アメリカ政府が発行する国債)と日本国債(日本政府が発行する国債)は、世界中の投資家が注目する超安全資産**です。
✅ 米国債が買われるとき
- リスク回避が強まる(戦争・経済不安など)
- 金利が下がる(価格が上がる)
- ドルが買われやすくなる(ドル高)
✅ 日本国債が買われるとき
- 円高傾向になる
- 日経平均にとってはマイナス要因(輸出企業に不利)
3. 金利が変わると、株価はどう動く?
投資の世界では「金利」と「株価」は密接な関係にあります。
✅ 金利が上がるとどうなる?
- 銀行預金や債券の利回りが上がる → 株の魅力が減る
- 企業の借入コストが上がる → 利益が減りやすい
- 株式市場にとってはマイナス材料
✅ 金利が下がると?
- 株の配当利回りが魅力的に映る
- 成長企業にとって追い風
- 投資マネーが株式市場に流れやすくなる
特にアメリカの金利(FRB政策金利)は世界経済全体に影響を与えるため、米国債の動き=世界の投資家の心理と考えてOKです。
4. 為替レートと株価の不思議な関係
ニュースでよく見る「1ドル=150円」などの数字。これが為替レートです。
✅ 円安(1ドル=160円など)になると
- 輸出企業の利益が増える → 日経平均が上がりやすい
- 海外投資家が日本株を買いやすくなる
✅ 円高(1ドル=130円など)になると
- 輸入企業には有利だが、全体ではマイナス
- 日経平均にとっては下落要因になりやすい
つまり、「日本株価」と「為替」も密接に連動しています。
5. 米株価 vs 日本株価|どっちに投資すべき?
アメリカの株式市場(S&P500やNASDAQ)は、世界で最も大きな市場です。対して日本株(TOPIX、日経平均)は為替や内需に大きく左右されやすい。
✅ 米株価に影響するもの
- FRB(中央銀行)の金利政策
- 米国債の金利
- テクノロジー企業の業績(Apple, Google, NVIDIAなど)
✅ 日本株価に影響するもの
- 為替(円安か円高か)
- 国内政策(金融緩和、財政政策など)
- アメリカの株価(意外と大きな連動がある)
両者には**「相関関係」**があり、アメリカで株価が大きく下がると、日本株もつられて売られる傾向があります。
関税政策の変更は、米株価と日本株価の連動性をより強く浮き彫りにしました。
- 発動前 → S&P500、ナスダックが急落(インフレ・金利上昇を警戒)
- 翌日 → 関税停止報道で株価回復、ドル高・円安も反転
✅ 投資家が注意すべきポイント
- 米株の急落は日本株にも波及する
- 政策の発言一つで市場が乱高下する
- 「相関関係」だけでなく「政策リスク」にも注目することが重要
6. 初心者が知っておきたい「相関性」のまとめ
指標 | 関連する影響 |
---|---|
関税 | 政策の不透明さは最大のリスク |
米国債 | 金利が急上昇=債券暴落=株安トリガー |
金利 | 上がると株にマイナス、下がるとプラス |
為替 | 関税発動時は「ドル安・円高」に反応した |
米株価 | 関税ニュースだけで1日で5%以上変動 |
日本株価 | 米株の影響+為替の影響を同時に受けやすい |
今回の事例は、「政策リスク」の恐ろしさを証明するものでした。経済指標や企業業績だけでなく、政治の動きが一夜にして相場を変えてしまうことを、投資家は理解する必要があります。
まとめ|複雑なようで、投資の流れは一貫している
ニュースで出てくる「関税」「金利」「為替」「債券利回り」などは、初心者には難しく見えますが、すべては「お金の流れ」「投資家の心理」と深く関わっています。
📌 今回の教訓
- マーケットは感情で動く
- 政治の一言で株価は動く
- 「リスクヘッジ」と「分散投資」が大切
- ニュースの裏側にある「影響力」を読み解けるようになることが、真の投資力
政治や経済のニュースが、株や為替とどう関係しているのかが少し見えてくると、投資の世界が一気に面白くなってきます。
特に20代は「長期で積み上げる投資」が基本です。短期の動きに一喜一憂せず、「なぜ今こう動いているのか?」という視点を忘れずに、経済と対話する感覚を身につけていきましょう。