はじめに
「見た目はきれいなのに、なぜか伝わらない……」
プレゼン資料を作っていて、こんなモヤモヤを感じたことはありませんか。
実は、多くの人がつまずくポイントはデザインではなく、「構成」です。
どんな順番で、どんな論理で話を組み立てるか。
ここが曖昧だと、どれだけ整ったスライドでも相手の心には届きません。
そして、この論理の組み立ては、センスではなくロジック。
つまり、AIが最も力を発揮できる領域でもあります。
AIを“構成作家”として使いこなせば、「何から考えればいいのか分からない」「構成で毎回悩む」といった資料作成の悩みは、一気に軽くなります。
この記事では、次の3つの価値をお届けします。
- 目的ごとに最適化された、「勝てる構成案」が手に入る
- 悩む時間をほぼゼロにし、資料作成スピードが体感で倍になる
- 聞き手の心を動かす論理展開を、誰でも再現できるようになる
AIという心強いパートナーと一緒に、明日からのプレゼン作成を、少し楽しく、そして確実に変えていきましょう。
1. 企画書作成を加速させるプロンプト20選
ここからは、そのままコピペして使えるプロンプトを20個ご紹介します。
戦略を考えるところから、全体の骨組み作り、そして仕上げまで。
プレゼン作成の各フェーズに合わせて、使いやすいものを厳選しました。
1-1. 戦略立案・コンセプト設計

まずは、プレゼン全体の「軸」を決める段階です。
ここが曖昧なままだと、どれだけスライドを作っても、話が散らかってしまいます。
AIに第三者視点で分析してもらうことで、「誰に、何を、なぜ伝えるのか」が自然と整理されていきます。
No.1 プレゼン目的の「解像度」向上
- 目的:漠然としたゴールをはっきりさせ、プレゼン後に聞き手に取ってほしい「具体的な行動」を定義します。
1. ロール設定
あなたは戦略コンサルタントです。
2. 指示内容
私は今度、以下の[概要]でプレゼンテーションを行います。
このプレゼンの「真の目的(ゴール)」と、終了後に聞き手に取ってもらいたい「具体的なアクション」を定義してください。
3. 入力内容の例
[概要]: 部長向けに、新しい顧客管理ツールの導入を提案する。予算は月額10万円。業務効率化が狙い。
No.2 ターゲット(聞き手)分析
- 目的:聞き手が何に関心を持ち、何を不安に感じているのか。そこを先回りして把握し、刺さるポイントを見つけます。
1. ロール設定
あなたは心理分析に長けたマーケターです。
2. 指示内容
今回のプレゼン相手である[ターゲット層]について、彼らが抱えている「潜在的な課題」と、提案に対して抱きそうな「懸念点(反論)」をそれぞれ3つずつ挙げてください。
3. 入力内容の例
[ターゲット層]: 40代〜50代の製造業の経営層。保守的でコスト意識が高い。ITには詳しくない。
No.3 「ワンビッグメッセージ」の抽出
- 目的:プレゼン全体を一言で言い表す、核となるメッセージを作ります。
1. ロール設定
あなたは敏腕コピーライターです。
2. 指示内容
私の提案内容である[詳細]から、最も聞き手の心に響く「ワンビッグメッセージ(核となる主張)」を一つ作成してください。
30文字以内で、印象に残る言葉を選んでください。
3. 入力内容の例
[詳細]: 既存の紙ベースの勤怠管理をやめ、クラウド型アプリに移行する提案。ミス削減と集計時間の短縮がメリット。
No.4 共感を呼ぶストーリー構成
- 目的:単なる説明で終わらせず、聞き手が感情移入できる流れを作ります。
1. ロール設定
あなたはTED Talksの構成作家です。
2. 指示内容
[テーマ]について話しますが、聞き手が感情移入できるよう、「課題の共有 → 解決策の提示 → 未来の提示」というストーリーの流れを具体的に作ってください。
3. 入力内容の例
[テーマ]: 若手社員の離職率低下に向けた、メンター制度の導入について。
No.5 惹きつけるタイトルの生成
- 目的:表紙を見ただけで、「中身を聞いてみたい」と思わせる引きの強いタイトルを作ります。
1. ロール設定
あなたはベストセラー書籍の編集者です。
2. 指示内容
以下の[プレゼン内容]に基づき、ターゲットが思わず身を乗り出すような「キャッチーなタイトル案」を5つ提案してください。
数字やパワーワードを含めてください。
3. 入力内容の例
[プレゼン内容]: 自社SNSアカウントの運用方針の見直し。これまでは宣伝ばかりだったが、今後はファンとの交流を重視したい。
1-2. 構成案・アウトライン作成

戦略が固まったら、次は全体の骨組み作りです。
ここでいう骨組みとは、スライド全体の流れのこと。
目的に合わせた「型」をAIに出してもらうことで、構成で迷う時間を一気に減らせます。
No.6 営業・提案プレゼンの構成
- 目的:顧客の課題にしっかり寄り添い、受注につながりやすい流れを作ります。
1. ロール設定
あなたはトップセールスマンです。
2. 指示内容
[商品・サービス]を提案するためのスライド構成(全10枚程度)を作成してください。
「課題提起(PASONAの法則)」を意識し、各スライドのタイトルと要点を記述してください。
3. 入力内容の例
[商品・サービス]: 法人向けのオンライン英会話研修。他社より安く、受講率が高いのが特徴。
No.7 社内報告・稟議の構成
- 目的:忙しい上司や役員にも、結論が一瞬で伝わる構成を目指します。
1. ロール設定
あなたはロジカルシンキングの講師です。
2. 指示内容
以下の[報告内容]について、PREP法(結論 → 理由 → 具体例 → 結論)に基づいたスライド構成案を作成してください。
忙しい役員が5分で理解できる流れにしてください。
3. 入力内容の例
[報告内容]: 先月のWebキャンペーンの結果報告。目標比120%達成。要因はインフルエンサー施策の成功。
No.8 セミナー・登壇資料の構成
- 目的:参加者が「来てよかった」と感じ、学びを持ち帰れる構成を作ります。
1. ロール設定
あなたは人気セミナー講師です。
2. 指示内容
[テーマ]について60分で話すセミナーのスライド構成を作成してください。
導入、本論(3つのポイント)、ワークショップ、まとめの時間配分も含めて設計してください。
3. 入力内容の例
[テーマ]: 初心者向けのInstagram集客講座。
No.9 スタートアップ・ピッチ構成
- 目的:限られた時間で、事業の魅力と将来性を熱量高く伝える構成を作ります。
1. ロール設定
あなたはシリコンバレーのベンチャーキャピタリストです。
2. 指示内容
[事業アイデア]の魅力を伝えるためのピッチ資料(ピッチデッキ)の構成案を作成してください。
市場規模、課題、ソリューション、ビジネスモデルの順で説得力を持たせてください。
3. 入力内容の例
[事業アイデア]: フードロスを減らすための、近所のパン屋と消費者を結ぶマッチングアプリ。
No.10 時間配分とスライド枚数の最適化
- 目的:持ち時間に合わせて、情報量とスライド枚数を最適化します。
1. ロール設定
あなたはタイムマネジメントの専門家です。
2. 指示内容
[持ち時間]でプレゼンを行う場合、適切なスライド枚数と、各セクション(導入・本論・結び)にかけるべき時間配分の目安を教えてください。
3. 入力内容の例
[持ち時間]: 質疑応答込みで15分。
1-3. スライド内容・コンテンツ詳細

全体の骨組みができたら、次は各スライドの中身を具体的に詰めていく段階です。
ここで重要なのは、「何を言うか」だけでなく、「どう伝えるか」。
AIを使えば、説得力のある文章や図解のアイデアを、驚くほど短時間で用意できます。
No.11 スライド内ボディテキストの作成
- 目的:箇条書きでパッと理解でき、しかも論理がきちんと通った説明文を作ります。
1. ロール設定
あなたは優秀なスライドデザイナーです。
2. 指示内容
「[スライドのテーマ]」というタイトルのスライドに載せるべき、3〜5個の箇条書きテキストを作成してください。
一文は短く、体言止めを活用してください。
3. 入力内容の例
[スライドのテーマ]: 競合他社と比較した際の、自社製品の圧倒的な優位性。
No.12 最適なグラフ・図解の提案
- 目的:数字や関係性を、直感的に伝わるビジュアルに変換します。
1. ロール設定
あなたはデータサイエンティストです。
2. 指示内容
以下の[データや関係性]をスライドで表現する場合、どのグラフ(棒、折れ線、円など)や図解(フロー、マトリクスなど)を使うのが最も効果的か提案し、その理由を教えてください。
3. 入力内容の例
[データや関係性]: 自社サービスのシェアが、3年間で5%から20%に急成長している推移を見せたい。
No.13 難しい概念の「例え話」生成
- 目的:専門用語に頼らず、誰でもイメージできる説明に置き換えます。
1. ロール設定
あなたは説明の天才です。
2. 指示内容
[専門的な概念]について、知識のない人でも直感的に理解できる「日常の例え話」を2つ作成してください。
3. 入力内容の例
[専門的な概念]: ブロックチェーン技術の仕組みと安全性について。
No.14 質疑応答のシミュレーション
- 目的:想定される厳しい質問に備え、本番で慌てない準備をします。
1. ロール設定
あなたは批判的な視点を持つコメンテーターです。
2. 指示内容
私の提案内容([概要])に対して、聞き手が投げかける可能性が高い「意地悪な質問」や「鋭いツッコミ」を3つ挙げ、それに対する模範回答を作成してください。
3. 入力内容の例
[概要]: 初期費用が高いが、長期的にはコスト削減になる省エネ設備の導入提案。
No.15 冒頭のアイスブレイク案
- 目的:プレゼン開始直後の空気を和らげ、聞き手の意識をこちらに向けます。
1. ロール設定
あなたはプロの司会者です。
2. 指示内容
プレゼンの冒頭で使える、聞き手の関心を惹きつける「つかみ(アイスブレイク)」のネタを3つ提案してください。
クイズ形式や、共感を呼ぶ問いかけを含めてください。
3. 入力内容の例
[状況]: 午後の会議で、参加者が少し疲れ気味のときに行う業務改善のプレゼン。
1-4. ブラッシュアップ・最終確認

最後は仕上げのフェーズです。
自分では見落としがちな論理のズレや言葉の違和感を、AIという編集者にチェックしてもらいましょう。
No.16 論理の「穴」チェック
- 目的:気づきにくい論理の飛躍を洗い出し、説得力を一段階引き上げます。
1. ロール設定
あなたはディベートの達人です。
2. 指示内容
以下の[プレゼン原稿]を読み、論理が飛躍している点や、根拠が薄いと感じる部分を厳しく指摘してください。
3. 入力内容の例
[プレゼン原稿]:(作成したスライドの構成や主要メッセージを貼り付ける)
No.17 文章の簡潔化(ショートテキスト化)
- 目的:スライドの文字量を減らし、見やすさと理解しやすさを高めます。
1. ロール設定
あなたはミニマリストの編集者です。
2. 指示内容
以下の[文章]の意味を変えずに、文字数を半分以下に要約してください。
プレゼン資料用の箇条書きとしてリライトしてください。
3. 入力内容の例
[文章]: 当社の製品は非常に耐久性が高く、長期間使用しても劣化が少ないため、結果的に買い替えの頻度が減り、トータルのコストパフォーマンスが良くなります。
No.18 トーン&マナーの調整
- 目的:相手に合わせて、言葉の温度感や距離感を調整します。
1. ロール設定
あなたはコミュニケーション・アドバイザーです。
2. 指示内容
以下の[テキスト]を、[相手]に合わせて適切なトーン(語尾や言い回し)に書き換えてください。
3. 入力内容の例
[相手]: 親しみやすさを重視したい、若手のクリエイター集団。
[テキスト]:本プロジェクトの遂行には、皆様の協力が不可欠であります。規律を守り、邁進しましょう。
No.19 反対意見への「切り返し」作成
- 目的:否定的な意見を、建設的な議論へとつなげます。
1. ロール設定
あなたは交渉のプロフェッショナルです。
2. 指示内容
提案中に「[反対意見]」と言われた場合、相手の顔を立てつつ、論理的に反論するための「切り返しトーク」を作成してください。
3. 入力内容の例
[反対意見]:「アイデアはいいけど、今は時期尚早じゃないか?」
No.20 行動を促すクロージング作成
- 目的:プレゼンの最後で、聞き手の背中をそっと、でも力強く押します。
1. ロール設定
あなたは情熱的な演説家です。
2. 指示内容
プレゼンの締めくくりとして、聞き手が「よし、やってみよう」と思えるような、力強く前向きなクロージングの言葉を作成してください。
3. 入力内容の例
[プレゼンの結論]:全社的なテレワークの恒久化。
2. 複数プロンプトの複合利用の方法

プロンプトは、単体でも十分に強力です。
ただ、組み合わせて使うことで、まるで優秀な構成作家チームを雇ったような効果が生まれます。
点で使うのではなく、線でつなぐ。
そんなイメージで活用してみてください。
2-1. 複合利用の基本原則
前の出力を次の入力として活用する
AIとのやり取りは、基本的にリレー形式です。
たとえば、「ターゲット分析」で得た情報を、そのまま次の「構成案作成」の条件として使う。
こうして情報を引き継いでいくことで、一貫性のある資料が自然と出来上がります。
体系的なフローの構築方法
「戦略(No.1–5)」
→「骨子(No.6–10)」
→「肉付け(No.11–15)」
→「推敲(No.16–20)」
この流れに沿って進めるだけで、抜け漏れのない資料作成フローが完成します。
最初から細部を詰めすぎず、まず全体像を作り、少しずつ磨いていく。
それが、遠回りに見えて一番の近道です。
2-2. 初心者向けの複合利用の具体例
「実際には、どう組み合わせればいいの?」
そんな方のために、効果的な3つのパターンをご紹介します。
例1: 誰に何を言うか迷った時の「ゼロ→イチ」作成
活用プロンプト:No.2(ターゲット分析)→ No.6(営業プレゼン構成)
- No.2を実行:
顧客が抱えている課題と懸念点を洗い出す - 出力の一部を選択:
代表的な課題(例:コスト削減の圧力)をコピー - No.6を実行:
「先ほどの課題を解決することを主軸に」と条件を追加
相手の悩みに直球で刺さる、受注率の高い構成が完成します
例2: 文字だらけのスライドを「伝わる資料」に変える
活用プロンプト:No.17(文章の簡潔化)→ No.12(図解提案)
- No.17を実行:
長文スライドを箇条書きに要約 - 出力の一部を選択:
要点(例:売上比較データ)をコピー - No.12を実行:
「この情報を一番分かりやすく伝える図は?」と質問
一目で理解できる、ビジュアル重視の資料に変わります
例3: プレゼン直前の不安を「自信」に変える
活用プロンプト: No.16(論理の穴チェック)→ No.14(質疑応答)
- No.16を実行:
構成全体をチェックし、弱点を洗い出す - 出力の一部を選択:
指摘されたポイントをコピー - No.14を実行:
「ここを突かれた場合の回答は?」と準備
どんな質問にも落ち着いて対応できる状態が整います
まとめ
プレゼン資料の質を決めるのは、デザインの美しさよりも、「目的の明確さ」と「構成のロジック」です。
AIプロンプトを使えば、この本質的な部分を、短時間かつ高い精度で仕上げることができます。
まずは次回の社内報告や定例会で、No.1の「目的の解像度向上」だけでも試してみてください。
AIという頼れるパートナーがいれば、あなたのプレゼンは、もっと自由に、もっと強力になるはずです。

