はじめに
会議が終わったあと、またパソコンに向かって議事録を書き始める──そんな習慣に、そろそろ疲れてきた方も多いのではないでしょうか。
議論の記録は欠かせないものの、そこに長い時間を取られてしまっては本末転倒です。
でも、もしAIがそっと横でサポートしてくれたらどうでしょう。
まるで優秀な書記が常駐しているかのように、複雑な会話も一瞬で整理され、すぐに次の仕事へ進める状態になります。
- 議事録作成の時間が劇的に短縮され、精度も向上する
- コピペですぐ使える実践的なプロンプト20選が手に入る
- 用途ごとに使い分けられる応用テクニックもセットで理解できる
この記事を読み終える頃には、あなたの会議に対する常識が大きく変わっているはずです。
さあ、よりスマートな働き方へ踏み出してみましょう。
1. 議事録作成を加速させるプロンプト20選
ここからは、明日からすぐに使える20個のプロンプトをご紹介します。
議事録づくりのプロセスに沿って、特に相性の良いものを厳選しました。
1-1. テキスト整形・クリーニング

まずは、文字起こしツールなどから得られた「生データ」を整えるところから始めましょう。
ここをAIに任せるだけで、作業の心理的ハードルがぐっと下がります。
No.1 フィラー(言い淀み)の削除
- 目的: 文字起こし特有の「あー」「えっと」など、意味のないノイズを取り除く。
1. ロール設定
あなたは熟練のテープライターです。
2. 指示内容
以下の[会議テキスト]から、「あー」「えっと」などのフィラー(意味を持たない言い淀み)や、文脈上不要な繰り返しを削除してください。
発言の意図を変えずに、自然な日本語の文章に整えてください。
3. 入力内容の例
[会議テキスト]: (文字起こしツールで出力された生のテキスト)
No.2 口語体のビジネス文書化
- 目的: くだけた口語表現を、報告書にふさわしい書き言葉へ整える。
1. ロール設定
あなたは行政文書も手掛けるプロの編集者です。
2. 指示内容
以下の[発言内容]は口語体で書かれています。
これをビジネス文書として適切な「だ・である調(常体)」に書き換えてください。
客観的な事実が伝わるよう、感情的な表現は抑制してください。
3. 入力内容の例
[発言内容]: 部長が言ってた件なんですが、やっぱりコスト的にきついと思うんですよね。
No.3 発言者の明確化と整理
- 目的: 誰が何を話したのかを明確にし、対話形式で読みやすく整理する。
1. ロール設定
あなたは正確さを重んじる書記官です。
2. 指示内容
以下の[テキスト]は複数人の会話です。
文脈から発言者を推測し、「A氏:」「B氏:」のように発言者ごとに改行して整理してください。
不明な場合は「発言者不明:」としてください。
3. 入力内容の例
[テキスト]: (発言者が混ざってしまった長文のテキスト)
No.4 事実と意見の分類
- 目的: 議論の中に含まれる事実と意見をわかりやすく切り分ける。
1. ロール設定
あなたは論理的な分析家です。
2. 指示内容
以下の[議論内容]に含まれる情報を、「客観的な事実(データ・決定事項)」と「主観的な意見(感想・推測)」に分類して箇条書きで出力してください。
3. 入力内容の例
[議論内容]: 競合の売上が5%伸びている。おそらく新商品のCMが影響しているはずだ。
No.5 誤字脱字・専門用語の補正
- 目的: 音声認識の誤変換や誤字を補正し、用語の揺れも整える。
1. ロール設定
あなたは校正・校閲のスペシャリストです。
2. 指示内容
以下の[テキスト]に含まれる明らかな誤字脱字を修正してください。
また、文脈から判断して誤変換されていると思われる専門用語があれば、正しい用語に直して出力してください。
3. 入力内容の例
[テキスト]: (誤字が含まれている可能性のあるテキスト)
1-2. 構成・要約の構造化

テキストが整ったら、それを読み手が理解しやすい「議事録の形」へと整理していきます。
AIの要約力がもっとも生きる工程です。
No.6 標準的な議事録フォーマット
- 目的: 一般的な議事録形式に一度でまとめる。
1. ロール設定
あなたは優秀なプロジェクトマネージャーです。
2. 指示内容
以下の[会議メモ]をもとに、標準的な議事録を作成してください。
「日時・場所」「参加者」「議題」「決定事項」「宿題事項(To-Do)」の項目を立てて整理してください。
3. 入力内容の例
[会議メモ]: (会議中に取った乱雑なメモやテキスト)
No.7 議題ごとの要点まとめ
- 目的: 長い議論をトピックごとに簡潔に要約する。
1. ロール設定
あなたは要点を掴むのが上手なニュース記者です。
2. 指示内容
以下の[全文テキスト]を読み込み、議論された「主要なトピック」を3つ抽出してください。
それぞれのトピックについて、どのような議論がなされ、どう結論づいたかを3行以内で要約してください。
3. 入力内容の例
[全文テキスト]: (会議の文字起こし全文)
No.8 賛成・反対意見の対比
- 目的: 意見が割れた場面で、両者の主張を整理し比較する。
1. ロール設定
あなたは中立的なファシリテーターです。
2. 指示内容
以下の[議論テキスト]において、あるテーマに対する「賛成意見」と「反対意見」を抽出して対比表を作成してください。
それぞれの意見の根拠も合わせて簡潔に記載してください。
3. 入力内容の例
[議論テキスト]: リモートワーク継続か、出社再開かに関する議論
No.9 時系列フローの作成
- 目的: 会議の流れを時系列で追える形にまとめる。
1. ロール設定
あなたはストーリーテラーです。
2. 指示内容
以下の[会議ログ]をもとに、議論がどのように進行したかがわかる「タイムライン形式」のサマリーを作成してください。
議論の転換点となった発言やイベントを強調してください。
3. 入力内容の例
[会議ログ]: (時系列順の会話データ)
No.10 Q&A形式での整理
- 目的: 質疑応答のポイントを分かりやすいQ&A形式にまとめる。
1. ロール設定
あなたはカスタマーサポートの責任者です。
2. 指示内容
以下の[会議内容]から、参加者から出た「質問」と、それに対する「回答」を抜き出し、Q&A形式でリスト化してください。
回答が明確でない場合は「回答保留」としてください。
3. 入力内容の例
[会議内容]: 新規プロジェクト説明会の録音データ
1-3. 決定事項・タスクの抽出

議事録でもっとも重要なのは、「次に誰が何をするか」。
ここは漏れが許されない部分なので、AIによるダブルチェックが非常に有効です。
No.11 ネクストアクション(To-Do)リスト
- 目的: タスク・担当者・期限を明確に抽出する。
1. ロール設定
あなたは厳しい進捗管理者です。
2. 指示内容
以下の[会議テキスト]から、今後行うべきタスク(To-Do)をすべて抽出してください。
可能な限り「タスク内容」「担当者」「期限」の3要素を明確にして表形式で出力してください。
3. 入力内容の例
[会議テキスト]: (アクションアイテムが含まれる会話)
No.12 決定事項の厳選リスト
- 目的: 会議で最終的に決まったことだけを抜き出す。
1. ロール設定
あなたは法務担当のコンサルタントです。
2. 指示内容
以下の[議論]の中で、最終的に「決定したこと」「合意が取れたこと」のみを箇条書きで抽出してください。
まだ検討中の事項は含めないでください。
3. 入力内容の例
[議論]: 来期の予算配分に関する会議ログ
No.13 保留・検討事項の洗い出し
- 目的: 決まらなかった課題や、次回へ持ち越すポイントを整理する。
1. ロール設定
あなたはリスク管理の専門家です。
2. 指示内容
以下の[会議録]を確認し、結論が出ずに「保留」となった事項や、「継続検討」とされた課題をリストアップしてください。
なぜ結論が出なかったのかの理由も一言添えてください。
3. 入力内容の例
[会議録]: 商品開発会議の議事録ドラフト
No.14 スケジュール変更点の抽出
- 目的: 会議によって変更されたスケジュールを明確にする。
1. ロール設定
あなたはスケジュール調整の達人です。
2. 指示内容
以下の[会話内容]から、プロジェクトのスケジュールや納期に関する変更点を抽出してください。
「変更前」と「変更後」の日付がわかるように記述してください。
3. 入力内容の例
[会話内容]: 進捗遅れに伴う工程見直し会議
No.15 必要なリソース・支援の特定
- 目的: メンバーが求めているサポートやリソースを拾い上げる。
1. ロール設定
あなたはチームリーダーです。
2. 指示内容
以下の[発言]から、メンバーが業務遂行のために求めている「必要なもの(予算、人員、ツール、他部署の協力など)」を具体的に抽出してください。
3. 入力内容の例
[発言]: 営業部定例ミーティングの記録
1-4. 仕上げ・ネクストアクション

最後に、作成した議事録を関係者へ共有したり、次のアクションにつなげたりする“仕上げ”の段階になります。
ここまで自動化できれば、業務全体の流れがぐっとスムーズになるはずです。
No.16 エグゼクティブ・サマリー(上司報告用)
- 目的: 忙しい決裁者が30秒で理解できる報告文をつくる。
1. ロール設定
あなたは社長秘書です。
2. 指示内容
以下の[詳細な議事録]をもとに、社長へ報告するための「エグゼクティブ・サマリー」を作成してください。
全体の結論と、経営判断が必要なポイントだけを5行以内でまとめてください。
3. 入力内容の例
[詳細な議事録]: (完成した議事録全文)
No.17 次回のアジェンダ案作成
- 目的: 今回の議論を踏まえ、次回の会議で取り上げるテーマを提案する。
1. ロール設定
あなたは先読みができるプランナーです。
2. 指示内容
以下の[今回の議事録]の内容、特に保留事項や残課題を踏まえて、次回開催される会議の「アジェンダ案(議題リスト)」を作成してください。
優先順位が高い順に並べてください。
3. 入力内容の例
[今回の議事録]: (今回の会議結果)
No.18 共有用メール文面の作成
- 目的: 議事録を展開する際の、気持ちの良い案内メールを整える。
1. ロール設定
あなたは気配りのできる広報担当です。
2. 指示内容
作成した議事録を関係者に共有するためのメール文面を作成してください。
参加への感謝を述べつつ、決定事項の確認と、To-Doの期限遵守をやんわりと促す内容にしてください。
3. 入力内容の例
[宛先]: プロジェクトメンバー全員
[添付]: 第3回キックオフ議事録
No.19 ファシリテーションへのフィードバック
- 目的: 会議の質を高めるため、進行面の改善点を見つける。
1. ロール設定
あなたは会議改善のコーチです。
2. 指示内容
以下の[会議ログ]を分析し、会議の進行(ファシリテーション)に関する改善点を3つアドバイスしてください。
「発言の偏り」「時間管理」「ゴールの明確さ」などの観点から評価してください。
3. 入力内容の例
[会議ログ]: (会議の会話全文)
No.20 英語での要約作成
- 目的: グローバルチームに向けた英語版サマリーをつくる。
1. ロール設定
あなたはプロの通訳・翻訳家です。
2. 指示内容
以下の[日本語の議事録]の要点を、海外支社のメンバーにも伝わるように平易なビジネス英語(Plain English)で要約してください。
重要な決定事項が誤解なく伝わることを最優先してください。
3. 入力内容の例
[日本語の議事録]: (日本語で作成された議事録)
2. 複数プロンプトの複合利用の方法
単体でプロンプトを使うだけでも十分便利ですが、組み合わせて使うとAIの力は一段と引き出されます。
ここでは、まるで情報が“わらしべ長者”のように豊かになっていくフローをご紹介します。
2-1. 複合利用の基本原則
前の出力を次の入力として活用する
AIを活用するコツは、リレー形式で作業を渡していくことです。
いきなり完璧なアウトプットを求めるのではなく、段階を踏むことで情報が磨かれ、質も自然と高くなっていきます。
体系的なフローの構築方法
「整える」→「まとめる」→「抜き出す」→「伝える」
という基本の流れを意識してみてください。
最初から詳細すべてを一気に書かせようとせず、まずは素材のクリーニングから始める方が、結果的に効率的です。
2-2. 初心者向けの複合利用の具体例
ここでは、前章で紹介したプロンプトを組み合わせて活用する“具体的な流れ”をいくつか紹介します。
例1: 生の音声データから完成版議事録を作る
活用プロンプト: No.1(フィラー削除) → No.6(標準フォーマット)
- No.1を実行
文字起こしテキストから「あー」「えー」などのノイズを除去。 - 出力の一部を選択
整えられたテキストをそのままコピー。 - No.6を実行
きれいになったテキストを入力し、標準的な議事録に変換。
読みづらかった文字起こしデータが、わずか2ステップで提出レベルの議事録に生まれ変わります。
例2: 議論からタスクを漏らさず回収し、担当へ通知する
活用プロンプト: No.11(To-Doリスト) → No.18(メール作成)
- No.11を実行
会議ログからタスク・担当者・期限を抽出してリスト化。 - 出力の一部を選択
生成されたTo-Do部分をコピー。 - No.18を実行
To-Doリストをメール作成の入力に加え、やんわりと期日を促す案内メールを作成。
「言った言わない」を避け、会議後のアクションをスムーズに進める流れが完成します。
例3: 上司への報告と、次回の準備を同時に済ませる
活用プロンプト: No.16(サマリー) → No.17(アジェンダ)
- No.16を実行
詳細な議事録から、上司報告用の要約を作成。 - 出力の一部を選択
要約の中に出てきた「残課題」や「保留事項」。 - No.17を実行
それらを入力情報として扱い、次回の会議アジェンダ案を自動生成。
報告業務と次回準備が同時に片付き、常に一歩先に進む働き方が実現します。
まとめ
議事録作成の自動化は「手抜き」ではありません。
むしろ、人間が本来集中すべき“判断”や“思考”に時間を使うための賢い選択です。
今回紹介したプロンプトを使えば、面倒な事務作業はAIが引き受け、あなたはチームを前へ進める仕事に力を注げるようになります。
まずは、次回の会議で一つだけでも試してみてください。
その快適さを味わえば、もう以前のやり方には戻れないはずです。

