はじめに
「せっかく素晴らしい本に出会ったのに、数日後には内容をほとんど覚えていない……」
そんな経験、きっとあなたにもあるのではないでしょうか。
読書は知識の宝庫ですが、ただ文字を追うだけでは記憶として定着しません。
大切なのは、読んだ内容を自分の言葉に落とし込み、しっかり噛み砕いていくプロセスです。
そしてこの部分こそ、AIが強力な助っ人になってくれるところでもあります。
AIを「読書パートナー」として使いこなせれば、理解の深さは驚くほど変わります。
それでは、AIと一緒に“読みっぱなしの読書”から卒業していきましょう。
1. 読書体験を加速させるプロンプト20選
ここからは、コピペしてすぐ使える20個のプロンプトをご紹介します。
読む前の準備から、読み終わった後のアウトプットまで、各フェーズに合わせて最適なものを選びました。
1-1. 読む前の「準備・構造理解」

まずは、本を開く前の“下ごしらえ”から始めてみましょう。
目的を明確にし、全体の構造を把握しておくことで、読書の質は見違えるほど高まります。
No.1 読書目的の明確化
- 目的:本から何を学びたいのかを言語化し、読む際の「軸」をつくる。
1. ロール設定
あなたは学習意欲の高い読書家です。
2. 指示内容
私がこれから読む[本のタイトル]について、現在の私の[課題や関心]に基づき、この本から読み取るべき「3つの学習ポイント」を提示してください。
3. 入力内容の例
[本のタイトル]: 7つの習慣
[課題や関心]: チームマネジメントに悩んでおり、リーダーとしての人間力を高めたい。
No.2 目次からの構造分析
- 目的:目次の段階で本の大枠をつかみ、どこに注目すべきか見当をつける。
1. ロール設定
あなたは論理構成に強い編集者です。
2. 指示内容
以下の[目次情報]を分析し、
著者が最も伝えたいと思われる「核心部分」と、全体の論理展開(起承転結)を簡潔に要約してください。
3. 入力内容の例
[目次情報]: (Amazonや書店のサイトから目次をコピペ)
No.3 著者背景の予習
- 目的:著者の専門性や思想を把握し、内容理解の“土台”をつくる。
1. ロール設定
あなたは伝記作家です。
2. 指示内容
著者の[著者名]について、専門分野・代表作・思想を、初心者でもわかるよう200文字程度で説明してください。
3. 入力内容の例
[著者名]: ダニエル・カーネマン
No.4 前提知識のインストール
- 目的:専門用語や背景知識を事前に理解し、読書中の“つまずき”をなくす。
1. ロール設定
あなたは大学の客員教授です。
2. 指示内容
[本のジャンル・テーマ]を読む前に知っておくべき基本的なキーワードを5つ挙げ、小学生でもわかる言葉で説明してください。
3. 入力内容の例
[本のジャンル・テーマ]: 行動経済学、ナッジ理論について。
No.5 積読解消の選書サポート
- 目的:今の自分に一番しっくりくる一冊を選び抜く。
1. ロール設定
あなたは私の専属ブックコンシェルジュです。
2. 指示内容
現在積読している[本リスト]の中から、今の[気分・状況]に最も合う1冊を選び、その理由とおすすめの読み方を提案してください。
3. 入力内容の例
[本リスト]: サピエンス全史、FACTFULNESS、嫌われる勇気
[気分・状況]: 仕事で失敗して落ち込んでいる。前向きになれる本が読みたい。
1-2. 読書中の「要約・理解補助」

読んでいる途中で「ちょっと難しいな」と感じることは誰にでもあります。
そんな時は、AIにうまく助けてもらいましょう。
No.6 難解な文章の翻訳
- 目的:抽象的な内容を、身近で理解しやすい例え話に変換する。
1. ロール設定
あなたは説明上手な小学校の先生です。
2. 指示内容
以下の[難解な文章]を、小学生でもわかる「身近な例え話」を使って説明してください。専門用語は使わないでください。
3. 入力内容の例
[難解な文章]: (本の中の難しいパラグラフ)
No.7 章ごとの3行要約
- 目的:章を読み終えるごとに要点を整理し、記憶を定着させる。
1. ロール設定
あなたは要約のプロフェッショナルです。
2. 指示内容
[章のテキストまたはメモ]を読み、重要なポイントを逃さずに「3行の箇条書き」でまとめてください。
3. 入力内容の例
[章のテキストまたはメモ]: (電子書籍のハイライトなど)
No.8 専門用語の深掘り解説
- 目的:用語の意味を文脈に沿って正しく理解する。
1. ロール設定
あなたは辞書編纂者です。
2. 指示内容
この文脈における[キーワード]の意味を解説し、さらに類語との違いも明確にしてください。
3. 入力内容の例
[キーワード]: 「イノベーション」と「インベンション」の違い。
No.9 著者との対話シミュレーション
- 目的:著者に直接質問しているような感覚で疑問を解消する。
1. ロール設定
あなたは著者の[著者名]本人になりきってください。
2. 指示内容
本を読んで感じた[質問]に、著書の内容やあなたの思想に基づき、“著者らしい言葉遣い”で答えてください。
3. 入力内容の例
[著者名]: 夏目漱石
[質問]: なぜ「こころ」の先生は、最後までKへの罪悪感を消せなかったのですか?
No.10 図解イメージの言語化
- 目的:概念的な内容を図解としてイメージしやすい形にする。
1. ロール設定
あなたはグラフィックレコーダーです。
2. 指示内容
以下の[概念・理論]を1枚の図にまとめるための構成案を作成してください。
中心要素、矢印、周辺要素などをどう配置すべきか具体的に示してください。
3. 入力内容の例
[概念・理論]: PDCAサイクルを高速で回して改善する仕組み。
1-3. 読了後の「感想・レビュー作成」

本を読み終えた後は、内容を“自分の言葉”としてアウトプットする段階です。
SNSやブログの発信にも役立ちます。
No.11 魅力的なタイトル案出し
- 目的:レビュー記事のタイトルを、読者が思わずクリックしたくなる形にする。
1. ロール設定
あなたはWebメディアの敏腕編集長です。
2. 指示内容
[本の内容・感想]をもとに、ターゲット読者を意識した魅力的な記事タイトル案を5つ作成してください。
3. 入力内容の例
[本の内容・感想]: 「影響力の武器」を読んで、営業成績が上がった体験談を書きたい。
No.12 共感を呼ぶツイート作成
- 目的:本のエッセンスを140字に凝縮し、SNSで伝わりやすくする。
1. ロール設定
あなたはSNSインフルエンサーです。
2. 指示内容
以下の[要約・感想]をもとに、Twitter(X)で「いいね」が集まりやすい140字投稿を3パターン作成してください。
絵文字は適度に使ってください。
3. 入力内容の例
[要約・感想]: 睡眠こそ最強のソリューション。寝不足は借金と同じ。7時間睡眠を確保しよう。
No.13 批判的思考でのレビュー
- 目的:称賛一辺倒ではなく、別視点や反論も織り交ぜてレビューに深みを出す。
1. ロール設定
あなたは辛口の文芸評論家です。
2. 指示内容
この本の[主張・内容]に対し、あえて「反論」や「別の視点」を提示してください。
その上で、この本の議論が持つ価値を公平に評価したレビューを書いてください。
3. 入力内容の例
[主張・内容]: グローバル資本主義は限界を迎えているという主張。
No.14 読書感想文の構成案
- 目的:冒頭から結びまで流れのある感想文を一気に書けるようにする。
1. ロール設定
あなたは文章指導の専門家です。
2. 指示内容
以下の[メモ]をもとに、2000文字程度の読書感想文を作るための「構成案(見出し構成)」を作成してください。
各見出しにつけるべき要素も書き添えてください。
3. 入力内容の例
[メモ]: 感動した点、自分の実体験との重なり、これから変えたい行動。
No.15 誰かに教えるための台本
- 目的:「人に教える」という最も強い学習効果をシミュレーションする。
1. ロール設定
あなたはプレゼンテーションのコーチです。
2. 指示内容
この本の核心である[テーマ]について、全く知識のない友人に3分で説明するための「話し言葉の台本」を作成してください。
興味を惹く導入も入れてください。
3. 入力内容の例
[テーマ]: NFTが変える未来の経済圏について。
1-4. 実践への「行動計画・習慣化」

本の内容を「いい話だった」で終わらせず、日々の生活に落とし込むためのプロンプトです。
ここからは、学びを行動につなげるためのステップをAIと一緒に組み立てていきましょう。
No.16 具体的なアクションプラン
- 目的:本から得た学びを、翌日から実行できる行動にまで落とし込む。
1. ロール設定
あなたは行動変容コーチです。
2. 指示内容
本から得た[学び]を実生活に適用するために、明日から実行できる具体的な「ToDoリスト」を5つ作成してください。
ハードルは低めに設定してください。
3. 入力内容の例
[学び]: 早起きをして朝の時間を有効活用する重要性。
No.17 習慣化のためのトリガー設定
- 目的:新しい行動を生活習慣に組み込んで、無理なく続けられるようにする。
1. ロール設定
あなたは習慣化コンサルタントです。
2. 指示内容
本で推奨されている[新しい習慣]を身につけるために、「いつ、どこで、何をするか」のIf-Thenプランを3つ提案してください。
(〜したら、〜する、という形式)
3. 入力内容の例
[新しい習慣]: 毎日15分の瞑想を行う。
No.18 読書ノートのテンプレート化
- 目的:学びを整理し、NotionやEvernoteなどに保存しやすいノート形式をつくる。
1. ロール設定
あなたは情報の整理整頓アドバイザーです。
2. 指示内容
これまでの対話内容をまとめ、デジタルノートに保存しやすい「Markdown形式の読書ノート」を作成してください。
書誌情報、要約、感想、ネクストアクションを含めてください。
3. 入力内容の例
(特になし、これまでの会話履歴を参照させる)
No.19 関連書籍のレコメンド
- 目的:興味や理解の幅を広げ、知識をネットワーク化する“芋づる式読書”を実現する。
1. ロール設定
あなたはベテランの書店員です。
2. 指示内容
今回読んだ[本]が面白かった私に対して、次に読むべき「関連書籍」を3冊紹介してください。
それぞれに「おすすめの理由」も添えてください。
3. 入力内容の例
[本]: 思考の整理学
No.20 1ヶ月後の振り返りメール
- 目的:時間が経った頃にもう一度内容を思い返し、行動が続いているかを確認する。
1. ロール設定
あなたは未来の自分です。
2. 指示内容
この本を読んでから1ヶ月後の私に向けて、「本の内容を覚えているか?」「行動は変わったか?」を問いかける、愛のあるリマインドメールの文面を作成してください。
3. 入力内容の例
[本の内容]: 投資信託の積立を始めることの重要性。
2. 複数プロンプトの複合利用の方法

プロンプトは単発で使うだけでも便利ですが、組み合わせて使うことで、その効果は一気に高まります。
情報を 理解 → 整理 → アウトプット へ流していく過程を、AIと一緒に“仕組み化”していきましょう。
2-1. 複合利用の基本原則
前の出力を次の入力として活用する
AIとの対話は積み重ねのプロセスです。
例えば、あるプロンプトで作った「要約テキスト」を、次の「ブログ構成」の入力として使う。
こうした“バケツリレー式”の使い方をすると、一貫性があり、質の高いアウトプットがスムーズに生まれます。
体系的なフローの構築方法
以下の順番を意識して流れを組んでいくと、読書がただのインプットではなく、知的生産の営みへと変わります。
「準備(No.1–5)」 →「理解(No.6–10)」 →「発信(No.11–15)」 →「行動(No.16–20)」
この型に沿うだけで、読書体験は見違えるほどシャープになっていきます。
2-2. 初心者向けの複合利用の具体例
実際にどのように組み合わせればいいのか、3つのパターンでご紹介します。
例1: 難解な古典を挫折せずに読み切る
活用プロンプト:No.2(構造分析) → No.6(翻訳)
- No.2を実行:
Amazonなどから目次をコピペし、本の全体像と論理展開を把握する。 - 出力の一部を選択:
特に難しそうな章や、著者の核心部分の説明をコピーする。 - No.6を実行:
「小学生にもわかる例えで」と指示し、噛み砕いた説明を作ってもらう。
難しくて途中で投げていた名著も、“ガイドつきツアー”のようにスラスラ読めるようになります。
例2: 読了後、最速でブログ記事を書き上げる
活用プロンプト:No.7(3行要約) → No.14(感想文構成)
- No.7を実行:
読書中に残したメモを投げ入れて、要点を箇条書きで整理してもらう。 - 出力の一部を選択:
生成された要約と、自分が特に心動かされたポイントをコピー。 - No.14を実行:
その素材をもとに、ブログ記事の構成案(見出し一覧)を作ってもらう。
白紙の前で手が止まる時間がなくなり、プロが書いたような構成のレビューが効率よく完成します。
例3: 本の知識を「行動」に変えて定着させる
活用プロンプト:No.16(アクションプラン) → No.20(振り返り)
- No.16を実行:
本からの学びを入力し、明日からできるToDoリスト(小さなステップ)を作成。 - 出力の一部を選択:
その中から「これなら続けられそう」と思う行動をコピー。 - No.20を実行:
その行動が1ヶ月後に継続できているかを確かめる“未来の自分からのメール”を作成。
読んで終わりにせず、行動変容へしっかりつながる読書ができるようになります。
まとめ
読書ノートを取ることは、知識を「自分の血肉」にしていくための最短ルートです。
ただ、そのすべてを自力でこなす必要はありません。
AIという優秀なパートナーに、下ごしらえや整理作業を任せることで、あなたは“考えること”“味わうこと”により集中できます。
まずは次に読む本で、「No.1 読書目的の明確化」から試してみてください。
きっと今までとはまったく違う読書体験が始まるはずです。

