はじめに
「今夜、何を観ようかな」
動画配信サービスの画面を何となくスクロールしているうちに、気づけば時間だけが過ぎていた……
そんな経験、一度はあるのではないでしょうか。
映画やドラマは、人生を豊かにしてくれる最高のエンターテインメントです。
ただ、作品数があまりにも多い今の時代、「今の自分」にぴったり合う一本を見つけるのは、思った以上に大変な作業だったりします。
そこでぜひ活用したいのが、AIプロンプトです。
AIを“専属の映画コンシェルジュ”として使いこなせるようになると、作品選びから鑑賞体験そのものまで、驚くほど変わっていきます。
この記事では、次の3つの価値をお届けします。
- 自分の気分や好みにぴたりと合う「隠れた名作」と出会える
- ネタバレなしで、作品の見どころや背景を深く理解できる
- 感想のアウトプットがスムーズになり、鑑賞記録が“資産”として残る
さあ、AIと一緒に、あなたの一生モノになる作品を探しに行きましょう。
1. 鑑賞体験を加速させるプロンプト20選
ここからは、コピペしてすぐ使えるプロンプトを20個ご紹介します。
作品探しから深掘り解説、レビュー作成までをカバーできるよう、4つのカテゴリに分けて厳選しました。
1-1. 気分と好みからの「作品発掘」

まずは、「今の自分」に合う作品を見つけるところから始めましょう。
AIなら、「なんとなくこんな気分」といった抽象的なリクエストでも、驚くほど精度の高い提案をしてくれます。
No.1 今のムードに合う作品診断
- 目的:言葉にしづらい気分のときでも、そっと寄り添ってくれる作品を見つける。
1. ロール設定
あなたは映画やドラマに精通した心理カウンセラーです。
2. 指示内容
現在の私の[気分・状態]に最も適した映画またはドラマを3つ提案してください。
それぞれの推薦理由と、観終わった後に得られる「感情の変化」を併せて教えてください。
3. 入力内容の例
[気分・状態]: 仕事で失敗して落ち込んでいる。とにかく笑って元気になりたいけれど、説教くさいのは嫌だ。
No.2 「〇〇が好きなら」リコメンド
- 目的:好きな作品の延長線上で、まだ観ていない名作を見つける。
1. ロール設定
あなたは動画配信サービスのレコメンドAI開発者です。
2. 指示内容
私が過去にハマった[好きな作品]の要素(脚本、テンポ、世界観など)を分析し、系統が似ているけれど意外と知られていない「隠れた名作」を3つ紹介してください。
3. 入力内容の例
[好きな作品]: 『インセプション』、『ブラック・ミラー』、考察要素のあるSFサスペンス。
No.3 時間制限付きショート作品
- 目的:限られた時間でも、しっかり満足できる作品を楽しむ。
1. ロール設定
あなたは忙しい現代人のためのシネマコンシェルジュです。
2. 指示内容
現在、[空き時間]しかありません。
この時間内で完結し、かつ物語の満足度が高い映画、またはドラマの単発エピソードを3つ提案してください。
3. 入力内容の例
[空き時間]: 90分以内。サクッと観られるが、伏線回収が美しいミステリー映画。
No.4 特定ジャンルの「最高傑作」抽出
- 目的:これまで避けてきたジャンルでも、「これは観てよかった」と思える一本に出会う。
1. ロール設定
あなたは映画批評サイトのトップレビュアーです。
2. 指示内容
私は普段[苦手・未開拓のジャンル]を観ませんが、挑戦したいと考えています。
初心者でも入りやすく、かつマニアも唸る「歴史的傑作」を3つ選び、その魅力を平易に解説してください。
3. 入力内容の例
[苦手・未開拓のジャンル]: 昔のモノクロ映画、または韓国の恋愛ドラマ。
No.5 週末の「一気見」ビンジウォッチ
- 目的:休日をまるごと預けたくなる、没入感の高いドラマを探す。
1. ロール設定
あなたは海外ドラマ専門のバイヤーです。
2. 指示内容
週末の2日間を使って一気に観られる、続きが気になって止まらなくなるドラマシリーズ([条件])を提案してください。
全何話で、トータル何時間かかるかも記載してください。
3. 入力内容の例
[条件]: 1シーズン完結型か、シーズン数が少ないもの。ハラハラするクライムサスペンス。
1-2. 作品の「深掘り解説」

観る作品が決まったら、あるいは観終わった後でも構いません。
せっかくなら、その作品を表面だけで終わらせず、骨の髄まで味わってみましょう。
No.6 ネタバレ厳禁のあらすじ紹介
- 目的:結末に触れず、ワクワク感だけを高める。
1. ロール設定
あなたは映画の予告編制作ディレクターです。
2. 指示内容
以下の[作品名]について、物語の核心や結末には一切触れず、観客の「観たい欲」を最大まで高める魅力的なあらすじ(200文字程度)を作成してください。
3. 入力内容の例
[作品名]: 『インターステラー』
No.7 監督・脚本家の作家性分析
- 目的:作り手の視点を知り、鑑賞の解像度を一段引き上げる。
1. ロール設定
あなたは映画大学の教授です。
2. 指示内容
[作品名]の監督(または脚本家)である[人物名]の作家性や演出の特徴を3つのポイントで解説してください。
本作のどのシーンにその特徴が色濃く出ているかも教えてください。
3. 入力内容の例
[作品名]: 『パルプ・フィクション』
[人物名]: クエンティン・タランティーノ
No.8 難解作品の謎解き解説
- 目的:観終わった後の「よく分からなかった」をスッキリさせる。
1. ロール設定
あなたは伏線回収・考察系YouTuberです。
2. 指示内容
私は[作品名]を観終わりましたが、結末の意味がよく分かりませんでした。
物語のラストシーンの解釈と、作中に散りばめられた重要な伏線を分かりやすく解説してください。
3. 入力内容の例
[作品名]: 『テネット』
No.9 時代背景と社会問題の予習
- 目的:物語の奥にあるメッセージまで受け取る。
1. ロール設定
あなたは社会学の専門家です。
2. 指示内容
[作品名]が制作された当時の時代背景や、テーマとなっている社会問題について解説してください。
これを知っておくと作品がより深く楽しめるというポイントをお願いします。
3. 入力内容の例
[作品名]: 『パラサイト 半地下の家族』
No.10 注目すべき脇役・カメオ出演
- 目的:主役以外にも目を向けて、通な楽しみ方をする。
1. ロール設定
あなたはハリウッドのキャスティングディレクターです。
2. 指示内容
[作品名]において、主役ではないけれど素晴らしい演技をしている「名脇役(バイプレイヤー)」を一人挙げ、その俳優の経歴や演技の凄さを紹介してください。
3. 入力内容の例
[作品名]: ドラマ『ブレイキング・バッド』
1-3. シチュエーション別「鑑賞プラン」

「誰と観るのか」「どんな場面で観るのか」
この2つは、作品選びの満足度を大きく左右します。
とくに失敗したくないシチュエーションほど、AIの力を借りる価値があります。
No.11 初デートで失敗しない映画
- 目的:気まずさを避けつつ、観終わった後の会話が自然と弾む作品を選ぶ。
1. ロール設定
あなたは恋愛コンサルタントです。
2. 指示内容
付き合い始めのパートナーと家で映画を観ます。
気まずくなる濡れ場や過度な暴力シーンがなく、観終わった後に二人の会話が自然と盛り上がる作品を3つ提案してください。
3. 入力内容の例
[ジャンル]: ラブコメディか、明るいヒューマンドラマ。
No.12 親子で学ぶ教養シネマ
- 目的:一緒に楽しみながら、学びのきっかけも得られる時間をつくる。
1. ロール設定
あなたは教育熱心な学校の先生です。
2. 指示内容
[子供の年齢]の子供と一緒に観られて、かつ大人が観ても面白く、鑑賞後に「科学」や「歴史」への興味が湧くような映画を3つ紹介してください。
3. 入力内容の例
[子供の年齢]: 小学校高学年(10歳〜12歳)。
No.13 ビジネスの視座を高める一本
- 目的:仕事へのモチベーションを高め、視点を一段引き上げる。
1. ロール設定
あなたは外資系企業の経営コンサルタントです。
2. 指示内容
明日からの仕事への活力が湧く、あるいはビジネスの戦略的思考やリーダーシップが学べる映画・ドラマを3つ提案してください。
どのようなビジネスマンにおすすめかも添えてください。
3. 入力内容の例
[今の課題]: チームマネジメントに悩んでいる。起業家精神を学びたい。
No.14 英語学習に最適なドラマ
- 目的:楽しみながら、実践的な英語表現に触れる。
1. ロール設定
あなたは英語学習コーチです。
2. 指示内容
英語学習(リスニング・スピーキング)に最適で、かつストーリーが面白い海外ドラマを3つ教えてください。
「使われている英語のレベル」や「特徴(スラングが多いなど)」も併記してください。
3. 入力内容の例
[レベル]: TOEIC 600点前後。日常会話を学びたい。
No.15 泣いてスッキリ「デトックス」
- 目的:感情をしっかり解放して、心を軽くする。
1. ロール設定
あなたはメンタルヘルスの専門家です。
2. 指示内容
とにかく号泣して心のデトックスができる、「泣ける映画」を3つ提案してください。
悲しいだけでなく、見終わった後に心が温かくなるような作品を優先してください。
3. 入力内容の例
[NG要素]: 動物が死ぬ話は辛すぎるので避けてください。
1-4. レビュー作成・記録・発信

心を動かされた作品に出会えたら、その感動を言葉として残してみましょう。
AIは、あなたの考えや感情を整理し、「伝わる文章」に整えてくれる心強い相棒になります。
No.16 感想文の構成アシスト
- 目的:SNSやブログで読みやすく伝えるための土台をつくる。
1. ロール設定
あなたはWebメディアの編集者です。
2. 指示内容
[作品名]を観た感想([箇条書きメモ])をもとに、ブログ記事として魅力的に読ませるための「記事構成案(見出し)」を作成してください。
ネタバレの有無も考慮してください。
3. 入力内容の例
[作品名]: 『ラ・ラ・ランド』
[箇条書きメモ]: 音楽が最高、ラストが切ない、夢と恋愛の両立について考えさせられた。
No.17 「エモい」表現への変換
- 目的:ありきたりな感想を、心に残る言葉へと磨き上げる。
1. ロール設定
あなたは詩的な表現を得意とするエッセイストです。
2. 指示内容
私が書いた以下の[感想]は少し平凡です。
同じ意味合いを保ちつつ、より情緒的で、読んだ人の心に残るような表現にリライトしてください。
3. 入力内容の例
[感想]: 主人公が最後に見せた笑顔がすごく良かった。悲しいけど、前に進もうと思えた。
No.18 賛否両論の視点比較
- 目的:自分とは違う意見を知り、レビューに厚みを持たせる。
1. ロール設定
あなたは公平中立な映画評論家です。
2. 指示内容
[作品名]について、一般的にどのような点が「評価されている(絶賛)」か、逆にどのような点が「批判されている(酷評)」か、主な論点を整理して教えてください。
3. 入力内容の例
[作品名]: 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』
No.19 次に観るべき「芋づる式」リスト
- 目的:鑑賞体験を途切れさせず、次の楽しみへとつなげる。
1. ロール設定
あなたはデータ分析が得意なキュレーターです。
2. 指示内容
今月観て面白かった以下の[作品リスト]の傾向から、私の好みを分析し、来月観るべき「おすすめ作品リスト5選」を作成してください。
なぜそれがおすすめなのかの理由も添えてください。
3. 入力内容の例
[作品リスト]: 『セッション』『ブラック・スワン』『レスラー』(狂気的なプロ意識を描く作品が好き)。
No.20 キャッチコピー生成
- 目的:タイトルや書き出しで悩まず、読者の心をつかむ。
1. ロール設定
あなたは敏腕コピーライターです。
2. 指示内容
[作品名]の魅力を一言で伝え、思わずクリックしたくなるようなキャッチコピーを5案考えてください。
ターゲットは[ターゲット層]です。
3. 入力内容の例
[作品名]: 『ショーシャンクの空に』
[ターゲット層]: 毎日仕事に追われて希望を見失っている20代会社員。
2. 複数プロンプトの複合利用の方法

プロンプトは、ひとつずつ使うだけでも十分に便利ですが、組み合わせることで真価を発揮します。
「作品選び」から「鑑賞後のアウトプット」までを、ひと続きの体験としてつなげていきましょう。
2-1. 複合利用の基本原則
前の出力を次の入力として活用する
AIとのやり取りで大切なのは、「文脈」です。
たとえば「作品診断」で出てきたおすすめ作品を、そのまま次の「あらすじ作成」や「解説」のプロンプトに入力してみてください。
そうすることで、あなた専用に最適化された深掘り情報が得られます。
体系的なフローの構築方法
「探索(No.1–5)」
→「理解(No.6–10)」
→「計画(No.11–15)」
→「記録(No.16–20)」
この流れを意識するだけで、映画鑑賞は単なる暇つぶしではなく、教養を育てる知的な活動へと変わっていきます。
2-2. 初心者向けの複合利用の具体例
では実際に、どのように組み合わせるのか。
ここでは3つのパターンをご紹介します。
例1: 今の気分にぴったりの作品を、失敗なく観る
活用プロンプト: No.1(ムード診断)→ No.6(あらすじ紹介)
- No.1を実行:
「仕事で疲れて何も考えたくない」と入力し、おすすめ作品を3つ出してもらう。 - 出力の一部を選択:
気になったタイトル(例:『パッドマン 5億人の女性を救った男』)をコピー。 - No.6を実行:
作品名を入力し、ネタバレなしのあらすじを出力させる。
気分にも合い、内容も事前に把握できているため、「思っていたのと違った」と後悔する可能性がぐっと下がります。
例2: 難解な映画を観て、すぐに深いレビューを書く
活用プロンプト: No.8(謎解き解説)→ No.16(感想文構成)
- No.8を実行:
観終わった難解作品(例:『ドニー・ダーコ』)の意味や考察を整理してもらう。 - 出力の一部を選択:
「なるほど」と感じたポイントや、自分なりの解釈をメモ。 - No.16を実行:
AIの解説と自分の感想を箇条書きで入力し、レビュー構成を作成。
鑑賞直後の熱量を保ったまま、読み応えのあるレビュー記事が短時間で仕上がります。
例3: 大切な人との「おうち映画館」を演出する
活用プロンプト: No.11(デート映画)→ No.20(キャッチコピー)
- No.11を実行:
パートナーの好みを踏まえて、安心して観られる映画候補を出してもらう。 - 出力の一部を選択:
気になる作品名を選ぶ。 - No.20を実行:
「相手を誘うための一言」としてキャッチコピーを生成。
ただ「これ観ない?」と聞くよりも、相手の心を動かす提案ができ、特別な映画時間を共有できます。
まとめ
AIプロンプトを活用することで、映画やドラマの楽しみ方は大きく広がります。
それは単に「探す手間が減る」という話ではありません。
自分ひとりでは出会えなかったはずの作品と、自然につながれるようになるのです。
まずは今夜、「今の気分」をAIに伝えるところから始めてみてください。
あなたの人生に残り続ける一本が、そこで静かに待っているかもしれません。

